玄関で呼び鈴が鳴ると、奥で女が声高に叫ぶ。
「は~い。いま行きます!」
女がドアを開ける。鍵はかかっていない。
ポーチにたたずんでいる男が尋ねる。
「待ったかい?」
「いいえ、全然。さあ、はやくお入りになって」
スーツの上着とビジネスケースを受け取った女が、1階のリビングルームへ招き入れる。
女の名は里穂{リホ}。もうすぐ35歳になるが、外見は若く、どこから眺めても20代にしかみえない。長身でスタイルも抜群なため、ひとりで歩いていると必ず複数の男から声をかけられる。
男の名は信治{シンジ}。大手食品メーカーで管理職にあり、今年が厄年にあたる。背丈はあるが重さもあり、でっぷりと太り腹も出ている。
ありふれた光景のようだが、実はこのふたり、本当の夫婦ではない。かといって、同棲してるわけでもないし、事実婚状態というわけでもない。もちろん血も繋がっていない。
もっとも特異な点は、里穂が素っ裸であるということだ。
彼女の名誉のために言っておくが、里穂に露出趣味があるわけでもないし、裸族というわけでもない。
すべては信治の命令に従った結果なのだ。
「ちゃんと言いつけを守ってるな。感心、感心」
「今お茶をお持ちします。それともおビールのほうがいいかしら?」
里穂が戻って来たとき、信治はソファーに腰を沈めて寛いでいた。
信治が目の前のテーブルに置かれた缶ビールを一口飲む。里穂は向かい側に座っている。
「おいっ、里穂、何してるんだ。はやく始めなさい」
里穂は股を固く閉じてうつむいている。男の前に裸を晒すことは、何度経験しても慣れることはない。
「そ、そんな…恥ずかしいです。外は明るいし、ここは自宅だし…」
「だからいいんじゃないか。おまえもそのほうが興奮するだろう? さあ、股を広げて! それとも、また縛られたいのか?」
里穂は浅く座り直して両足を肘掛けに載せると、夫以外に見られてはならない場所が現れる。
「ちゃんと毛は手入れしてるようだな。綺麗なマンコに剛毛は不似合いだからな」
里穂がオナニーを始める。
右手でヴァギナを、左手でクリトリスを愛撫する。すべて信治に仕込まれたものだ。
信治に命じられるまで、里穂には自慰の経験がなかった。もちろん知識としてはあったが、敬虔なクリスチャンの家庭で大切に育てられた里穂にとって、自ら股間に触れて楽しむことなどまったく考えられなかった。
膨らんだ肉芽を上下に擦り、中指を膣口に挿入して掻きまわす。
「あ、あ、あっ、あ~」
歓声がしだいに大きくなる。
慣れというのは恐ろしい。1ヵ月以上毎日続けた結果、四半刻程度でアクメに達するようになってしまった。
「おまえだけ楽しんでどうすんだ! はやくしろ!」
里穂は慌てて信治の前に座り、革ベルトに手をかける。ズボンとパンツを足から抜き、靴下を脱がせる。
剛毛の中に顔を埋める。汗と排泄物の臭いがする。
はじめに竿を舐め、次に玉袋を含み、最後に菊門を清める。終わりの許しが出るまでに半時間以上かかる。
顎が痛くなるまで刺激しても、男が射精に至ることはないが、里穂の欲情は確実に高められる。
はじめは怖くてしかたがなかったが、今では欲しくて欲しくてたまらない。1ヵ月前には想像もできなかったことだ。
「どうだ? 欲しいか?」
里穂が正座して見上げる。その大きな瞳にはすでに淫靡の火が点っている。我慢の限界を超えていた。
「はい、お情けをお願いいたします」
信治が柱時計を確認しながら返事をする。
「まだ時間があるからいいだろう。ほらっ、乗れ!」
頬を赤らめた里穂が太股を跨いで膝立ちになり、右手で剛直を支えて腰をゆっくりと落とす。巨大な幹が肉穴に消える。
「あ~ぁ」
可憐な口から安堵の声が漏れる。
信治はその様子を楽しげに眺めている。
「ほら、自分で動いてみろ!」
手を肩に載せ、膝立ちの太股に力を入れる。
「あん、あん、あん、あんっ」
人妻の淫声が部屋中に響き渡る。
(夫や友人たちと談笑する場所でこんなイヤらしい声をあげるなんて…)
「おまえはホントにスケベだなぁ~。もう旦那のモノじゃ我慢できないだろう?」
「そ、そんなこと、おっ・しゃら・ない・で・ください。あっ、あ~」
ピストン運動が速くなる。
「い、逝きそうです。逝ってもいいですか?」
「まだだ。いいと言うまでダメだ。勝手に逝くんじゃない」
上下運動が止まり、細く折れそうな腰が前後に揺すられる。
「も、もう耐えられません。後生ですからお許しください」
「あぁ、いいぞ。勝手に気をヤれ!」
「は、はい。あ、あんっ、りが・とう・ご、ございます~」
腰の動きがまた上下に変わる。足の裏で踏ん張ってソファーにしっかり力を伝えることで、ストロークが長くなり、中の刺激が強くなる。
「ダ、ダメ~。い、逝く、逝く、逝く~!」
眉間に皺を寄せた里穂が、両手を太い首に回したまま、脂ぎった毛むくじゃらの胸に倒れ込む。
秘口の内壁が男根をキリキリと締め上げる。しかし、鍛え上げられた肉茎はびくともしない。
このとき、玄関のチャイムがまた鳴った。
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