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秘密ごっこ(03)


 大塚雅也がベッドの上で伊藤美和{みわ}を腕枕している。
 二人とも全裸で、布団も毛布も掛けていない。雅也は美和の髪の毛に指をからめて遊んでいる。美和は横を向いて雅也の胸に顔を埋めている。行為後の心地よい疲れが幸せそうな二人を包み込んでいる。
 外からスズメの楽しげな歌声が聞こえてくる。影が短くなっている。昼が近づいている証拠だ。

 雅也が感慨深げに話しはじめる。
「やっとひとつになれた。二十年たってやっとだ。本当に嬉しかった。美和は?」
 美和が顔を上げ、天井を見つめながら答える。
「私も。まさかこんなことになるなんて、想像もしてなかったわ」
 雅也がおどける。
「セカンドヴァージンをいただきました。誠にありがとうございます! 大変おいしゅうございました」
 美和が頬に優しくキスをする。
「どういたしまして。ホントはファーストをあげたかったんだけど。あげないよりはあげたほうがよかったでしょ?」
 雅也が横を向き、額と額を合わせる。
「でも、久しぶりで痛くなかった?」
 美和がニッコリと笑う。
「それは痛かったわよ。なんたって15年ぶりにしたんだもの」
 雅也が腕枕をしていないほうの手で美和の乳房を優しく揉む。
「そうだよな~。君が精進している間、僕は修行に邁進していたわけだけど」
 美和が雅也の胸に手を置き、詰問するように尋ねる。
「修行って、いったい何人の女性とお付き合いしたの?」
 雅也がニヤニヤしながら答える。
「それは数え切れないくらいさ。でも不倫はしてないし、二股もかけてないよ」
 美和が雅也の頬をつねる。
「そうやって誠実さをアピールしてきたわけね」
 雅也が遠くを見るような目つきになる。
「僕はエッチしながら、いつも君のことを考えていた。次するときは絶対失敗しないって。いつもそのことばかり考えていた。だからエッチすると、すぐに振られちゃうんだ。ほかの女のことを考えているのがわかっちゃうんだな」
 美和が真顔になる。
「そうなの?」
 雅也が乳房を強く揉みしだく。
「そうさ。でも、次の機会がやって来るかどうか、確信なんて全然なかった。なにしろ君は結婚してしまったからね。子供もいたし」
 美和が雅也の耳たぶを噛んでささやく。
「二人とも若かったのよ。でも、こうして再会できたんだから。よかったじゃない」

 雅也と美和は同い年で、高校1年の春に知り合った。雅也は名門私立高校に通い、美和は紅百合女学院の生徒だった。
 互いに一目惚れした二人はすぐに付き合いはじめ、半年後には体の関係になりかけたが、ヴァージン・ボーイとヴァージン・ガールのファースト・ランデブーは失敗に終わった。
 美和の部屋で事に及ぼうとしたのだが、服を脱ぎかけたところで深夜まで外出しているはずの両親が帰ってきてしまったのだ。それからすぐに、ささいなことで喧嘩をして別れることになり、二人が結ばれる機会は失われた。
 その後、二人は同じ大学の同じ文芸サークルで再会した。運命を感じた二人はまた付き合いだした。雅也はすぐにでもセックスをしたかったが、美和はロストヴァージンに慎重だった。

 前期試験の直前、二人はまた喧嘩し、不仲のまま夏休みを迎えた。雅也はアメリカへ短期留学した。日本へ戻るころにはほとぼりがさめ、よりを戻すことができると簡単に考えていた。
 しかし、現実はそうならなかった。
 サークルの先輩で外務官僚の伊藤俊介{しゅんすけ}から猛烈なアタックを受けた美和は、あっさりとヴァージンを捧げて身ごもった。すぐに籍を入れ、斉藤美和から伊藤美和になった。

 1年後、娘が産まれて幸せの絶頂だった美和に、突然の不幸が襲った。夫がアフリカで客死したのだ。美和は十九歳で未亡人になった。
 そして、十数年後。雅也と美和は再会した。家庭教師と教え子の母親として。
 雅也は純文学の小説を書いていた。美和は夫が残した遺産で悠々自適の生活を送りながらボランティア活動に励んでいた。
 互いに独身であることを確かめた二人は、交際を始めた。そして、この日、無事結ばれた。


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テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

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豪円寺 琢磨
(Gouenji Takuma)

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