「海輪ちゃん、ひとつだけ確かめておきたいことがあるんだけど」
「なに? あらたまって」
「あなたは本当にこんな状況を受け入れられるの?」
「こんな状況って?」
「親子でひとりの男を共有するってことよ。私はあなたに幸せになってほしいの。でも、なんだか、ママがあなたたちの仲をジャマしてるようで」
「なんだ、そんなこと。心配しないで。これからもママとずっといっしょにいられるんだもの。私はこのほうが幸せよ」
「で、でも海輪ちゃん。こんなのは普通じゃないのよ。あなたはまだ子供だから分からないかもしれないけど、世間に知れたら大変なことになるのよ」
「いいじゃない。バレたら3人で遠いところへ行きましょうよ。とにかく、私はいつも3人でいたいの。離れたくないの」
「3人いっしょはいいの。娘婿に抱かれるのも、もともとそういう関係だったんだから受け入れられる」
「それなら問題ないじゃない。ときどき旦那様を貸すだけだもの。他の人なら絶対に嫌だけど、ママなら構わないわ」
「で、でもね、親子二人いっしょに虐められるっていうのは、どうなのかしら?」
「ママ、虐められるって表現は良くないわ。私たちは愛撫されてるのよ」
「ママだって、一人ならいいの。何をされても。恥ずかしいことだけど、最近は酷いことをされて気持ちがよくなっちゃうし、命令されるだけで体が痺れちゃうの。でも、あなたといっしょというのは、ちょっと考えちゃうの」
「いいじゃない。いっしょで。今日だって楽しめたわけだし」
「ママはちっとも楽しめなかったわ。あなたを見てるのも辛かったし、あなたに見られることも耐えがたかった」
「それは嘘よ。だって、ママ、感じてたじゃない。気持ちよくなってたじゃない。私は初アヌスのとき痛いだけだったけど、ママは痛いどころか逝ってしまったじゃない。体は正直なのよ」
「そうなのよ。だから、ママは怖いの。自分が怖いのよ。このまま深みに嵌まっていったら、体がおかしくなってしまうんじゃないかって」
「それは心配しすぎよ。プレイなんだから、単純に楽しめばいいじゃない」
「でも、プレイのときは、私たち“メス奴隷”なのよ。雅也さんが絶対者で、ママと海輪は何でも言うことをきく下等奴隷なのよ」
「いいじゃない。ママも私もMなんだから。覚悟を決めようよ。主従関係はあくまでプレイ上のことなんだし」
「籍を入れるときに3人で話し合って、あなたが正妻になり、私が愛人になり、親子で同格のメス奴隷になるって、そう決めて、ママも従うことにしたんだけど、本当にそれでよかったのかしら?」
「よかったに決まってるじゃない。Mの血はもうどうしようもないのよ。私たちは目覚めてしまったんだから、ご主人様は必要なのよ。それなら、雅也さんがいいじゃない」
「だから、ママはそれを受け入れることが怖いの」
「なんで? 雅也さんは信頼できる人よ。だから好きになったのよ。結婚したのよ」
「そうね。心から信頼できる人っていうのは間違いないわね。彼を信じられていれば、あなたを産むこともなかったわけだし。そうね、信じて随いて行くしかないわね。二度は失敗できないんだし」
「そうか。危なかった。パパが割り込んでこなかったら、私はこの世に存在してなかったんだね」
「なんだか不思議。私たち3人は、きっと強い縁で結ばれているのね」
「私もそう思うわ。だから、いっしょに頑張ろうよ」
雅也が部屋に入って来る。手にお盆を持っている。
「ちょっと休憩しよう」
アイスティーの入ったグラスが3つ載っている。
「真剣そうな顔してたけど、なに話してたの?」
海輪がグラスを受け取りながら陽気に返事をする。
「親子の秘密でーす。ねえ、ママ?」
沙羅が笑顔になる。
「そうね。二人だけの秘密ね」
雅也がおどけた様子で尋ねる。
「俺の悪口かい?」
海輪の頬が膨らむ。
「そうですよ。旦那様が私とママを虐めるから、対抗策を練ってたんです」
雅也が笑みをたたえながら反論する。
「なに言ってるの。可愛がってるんじゃないか。なぁ、沙羅、そうだろう?」
沙羅がグラスから口を離す。
「そうですね。そういうことにしておきましょう」
三人の笑い声が部屋中に響き渡った。
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