里穂の枕元に腰を下ろした信治が、放心状態のメスをいたぶるようにからかう。
「奥様、いかがですか? 逝った感じは? 初めてでしょう?」
触れられたくない事実を指摘され、人妻の頬が真っ赤に染まる。
「どうやらズボシのようだな。アイツから聞いてたとおりだ」
里穂が顔を横に向けて視線を逸らす。
「そ、そんなことありません。絶対ありません」
笑顔の信治が手を伸ばして恥毛をひと撫でする。
「じゃあ、認めるまで何回でも逝かせてやる!」
里穂の顔が恐怖に引き攣る。大嫌いな男に更なる痴態を見られたくはない。
「い、イヤ! 触らないで!」
野獣が獲物を追い込む。
「なら、認めるんだな?」
目を閉じた里穂が横を向いたまま小さくうなずく。
「そうだ。素直に認めればいいんだ」
拘束された四肢を動かしながら、泣き顔の里穂が懇願する。
「はやく、この縄を解いてください」
「どうして?」
「恥ずかしいからに決まってるじゃないですか」
「いまさら恥ずかしいもクソもないだろ。 逝くところまで見られちゃったんだから」
「せめて毛布を掛けてください。お願いします」
不敵な笑みを浮かべた信治が、里穂の隣に寝そべり、耳元でささやく。
「約束してくれたら、言うことを聞いてやってもいいぞ」
里穂が瞼を上げる。
「約束?」
信治が意味ありげに微笑む。
「そう。ヤ・ク・ソ・ク」
里穂が不安げに尋ねる。
「な、なにを約束するんですか?」
真顔になった信治が平然と答える。
「俺の愛人になること」
里穂は予想外の言葉に二の句が継げない。
信治が顔を寄せて頬ずりする。
「何も言わないってことは、OKってこと?」
里穂が慌てて口を開く。
「そ、そんなの無理に決まってるじゃないですか」
「どうして?」
「どうしてって。私は人妻です」
「だ・か・ら、“愛人”にって言ってるだろう? 妻になってほしいわけじゃないんだ」
夫人が眉根を寄せて抗議する。
「妻でも愛人でも何でも。とにかく無理なものは無理です。私には夫がいるんですから」
「知ってるさ。そんなこと。アンタの旦那は俺の大親友なんだから」
人妻が顔を歪めて拒む。
「知ってるなら、もう言わないでください」
「ダメか?」
「ダメです」
「どうしてもダメか?」
「当たり前です。ダメなものはダメです!」
「そうか、仕方ないなぁ」
そうつぶやいて覆い被さり、真上から生け贄の瞳を刺すように見る。
「どうしても愛人は嫌か?」
里穂が目を見開いて力強く断言する。
「イヤです!」
能面のような表情になった信治が無言のままベッドを下り、両足首を固定している革紐をベッドの足から外す。
里穂はすかさず両足を閉じ合わせ、膝を折って下腹部を隠す。
愁眉を開いた裸体の婦人が、ていねいに礼を述べる。
「あ、ありがとうございます」
黙ったままの信治が再びベッドに上がり、分厚い手の平で細い手首に巻き付いている革紐をゆっくりと撫でる。
下半身の自由を得た里穂が、無理やり笑みをつくって頼み込む。
「はやく手のほうも解いてく・だ・さ、あうっ!」
里穂が叫声を上げた。
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