2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

交換も五度目なら(08)


 夕食のとき、妻に話を切り出しました。
「例の動画、いっしょに観てもらってもいいかなぁ?」
 覚悟していたのでしょう。妻はあっさり承諾しました。

「わからないところがあったら聞いてもいいかなぁ?」
「いいけど。なんだか恥ずかしいわ。あんまり変な質問はしないでね」
「わかってる。でもビデオ観てわからないことがけっこう出てきたんだ」
「そうなの?」
「うん」
「どういったところが?」
「うん。観たとき話すよ」
「そう? そうね」
「ボクと幸恵さんのことはもう聞いたんだろう?」
「ええ、幸恵ちゃんから直接聞いたわ。いろいろしてもらったんだって。よかったわね」
「ボクが二人目だったんだってね。どうして教えてくれなかったの?」
「え~、だって、他人が教えるものじゃないでしょう」
「まぁそうだけど。ところで、ボクは何人目?」
「えっ、なんのこと?」
「冴子の経験人数だよ。ボクは何人目の男だったの?」
「言わなきゃダメ?」
「ああ。幸恵さんにも直接聞いてくれって言われたし」
「ん~とね~………ゴ…」
「五人目のオトコか」
「多すぎる?」
「いや、そんなことないよ」
「ふ~、ちょっと安心したわ」
「ボクが録ったビデオは観た?」
「ええ、もちろん。幸恵ちゃんチで観たわ。本人の解説付きで」
「そう。それで感想は?」
「感想って言われてもなぁ~」
「どんな気持ちになった?」
「どんなって言われても…」
「嫌な感じはしなかった?」
「嫉妬ってこと?」
「そうなるかな」
「今は答えたくないんだけど」
「どうして?」
「言いたくないのよ、いまは」
「どうして?」
「どうしてもよ。今日はやけにしつこいわね。あなたらしくないわ」

 気まずい雰囲気になったので、「観る準備するね」と言って席を立ちました。

 デスクトップPCの前では楽な姿勢がとれないので、ノートPCをリビングのテーブルに置き、ソファーに並んで座って観ることにしました。
 ノートといっても画面は15インチあるので、間近で観るにはじゅうぶんな大きさです。
 恥ずかしい声が外に聞こえないようにするためと、殺伐とした雰囲気にならないようにするため、チャイコフスキーのバレエ音楽(白鳥の湖、眠れる森の美女、くるみ割り人形)をエンドレスの設定で流しました。
 そのときの私の気分はメタルロックでしたが、妻の心情を考え妻好みのBGMを選びました。

 しばらくして、赤ワインとクリスタルグラスを持ったパジャマ姿の妻がやってきました。私はすでにパジャマに着替えていました。
 ワインは十年物のブルゴーニュの赤でした。五千円はする高級ワインです。
 私は安ウイスキーをロックであおりたい気分でしたが、妻は最高の気分に浸りながら動画を鑑賞したかったのだと思います。きっとドキドキわくわくしていたのでしょう。
 とっておきのソムリエナイフで開栓し、二つのグラスに薄紅色に輝くワインを注ぎました。左隣に座る妻と静かに乾杯しました。
 チーンという甲高い音が響きました。くるみ割り人形の軽快なリズムが聞こえてきました。
 私は一気に飲み干しました。果実のような芳醇な香りがしたはずですが、味はまったくわかりませんでした。喉の奥でアルコールを感じただけです。
 右手でマウスを握ります。動画のアイコンをクリックします。再生が始まります。全画面表示に切り替えます。

 ジギルさん。お待ちかねの部分です。
 このときのことを思い出しながら、実況中継風にお伝えさせていただきます。










関連記事

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

コメントの投稿

非公開コメント

  PROFILE
豪円寺 琢磨
(Gouenji Takuma)

 サイトを移しました。
 移転先は下記のアドレスです。

 http://seiai.sakura.ne.jp/blog/

  CATEGORY
 PR