新たな質問をぶつけます。
「ということは、ほかにも撮ってないシーンがあるってことだよね?」
妻が天井を見つめながら答えます。ワイングラスを持ったままです。
「たぶん、あったと思う。でも聞いてもらえば、なんでも詳しく説明するわよ」
「じゃぁ、そうさせてもらおうかな」
妻が急に元気になります。
「うん。なんでも聞いてちょうだい」
妻の顔を覗き込んで尋ねます。
「でも、変だと思わなかった? 全部記録するって約束だったでしょ」
「そうなの? でも、録音したときだって、最初から最後まで全部録ってたわけじゃないでしょう?」
「それはそうなんだけど。でも、ボクが知りたい部分がかなり欠けてるんだ。録音も録画も」
「そうなの? でも、政彦さんにおまかせだったから、私じゃわからないわ。だいたい私、記録されること自体が嫌なんだから。そんなの必要最低限でいいんじゃないの?」
これで合点がいきました。
日野氏が撮影した動画の撮影時間記録を見ると、かなりの時間帯で映像がありません。日野氏にとって見せる価値のない部分は撮影されなかったのです。
しかし、逆にこうも邪推しました。
実はその部分こそ日野氏が私に見せたくなかった交流シーンなのではないのか、と。つまり私は、日野氏にとって都合のよい結果しか見せられていない、ということです。
オモチャ使用に関する質問をします。
「で、バイブとローターは?」
「それもリビングで着替えたときに着けてもらったの」
「あんなにたくさん?」
「ううん。胸の二つは自分で着けたの。エプロンに着替えるときに」
新たな事実にまたショックを受けました。
「あんなのどこで手に入れたの?」
「政彦さんのものよ。持っててって言われて」
「じゃぁ、前回のときからずっと隠し持ってたってこと?」
「隠し持ってたって。人聞きの悪いこと言わないでよ。預かってただけじゃない」
「どこに仕舞ってあったの?」
「タンスの中。下着が入ってるとこ。ここならあなたに見つからないと思って」
「いくつ持ってたの?」
「10個くらいかなぁ? 数えてないから、よくわかんないわ」
「そんなに?」
「バッグにいっぱい詰まっていたもの。まだ預かってるから後で見せるわ」
「えっ、まだ持ってるの?」
「まだ預かったままよ。会ったときには使わなかったし」
「それって、プレゼントされたってことじゃないの?」
「ち、違うわよ。預かってるだけ。ホントよ」
「まさか、使ったりしてないよね?」
「ま、まさか。使うわけないじゃない。あんなイヤラシイもの」
このときピンと来ました。妻は使っていたのです。
日野氏の指示か自分の意思かはわかりませんが、妻が大人のオモチャを使って自慰にふけっていることを確信しました。
質問を続けます。
「ふ~ん。で、このときが初めてだった?」
「違うわよ。震える道具は2回目から使ってるけど」
またショッキングな事実が判明しました。
「えっ、2回目から? そ、そんなに早くから?」
「そうよ。いけなかった?」
妻は手元でワイングラスをころがしながら平然と答えました。私はルールを盾に反論しました。
「で、でも2回目はボディータッチだけって約束だったよね」
「だ・か・ら、服の上からよ」
「感じたの?」
「少しだけね」
「ホントに?」
「本当よ」
「で、ローターとバイブ。どっちを使ったの?」
「両方よ。でも今回のものとはまた別のヤツだったわ」
「当然、アソコも刺激されたわけだよね」
「ええ。でもパンツの上からよ。政彦さんの手が直接触ることもなかったわ」
「ん~。ルールはぎりぎり守られていたわけか…」
「うん。そうだと思う。これで疑いは晴れた?」
疑いが晴れるどころか、疑念がさらに膨らみました。
妻は明らかに嘘をついていました。
妻は嘘をつくとすぐに顔に出ます。動揺している様がはっきりと表情に出るのです。
しかし、妻本人は気づいていません。私が教えていないからです。
ただ、妻の名誉のために言っておくと、妻はめったに嘘をつきません。大きな嘘はこの日が初めてでした。
それほど隠したいことがあったということなのでしょう。
- 関連記事
-
テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト