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歪形の家族性活(15)


 作造が祥子の手を引いて歩いている。
「お義父様、いったいどこへ行くんですか?」
「いつもいつも離れでは飽きるじゃろう? 今日はとっておきの場所へ案内してやる」
「なんか下ってるみたいですけど」
「秘密の部屋は地下にあるからな」
「なんだか怖いです。変なことはなさらないでくださいね」
「なにを言っておる。変なことをするために造った部屋なんじゃから、するに決まっとる」

 しばらくして、作造が歩くのをやめた。
「さあ着いた。外していいぞ」
 祥子がアイマスクを額に上げると、目の前に頑丈そうな扉がそびえていた。
 作造が右隅のボタンを押すと、重い金属音とともに銀色に輝く扉が左右に開く。
「どうじゃ、素晴らしいプレイルームじゃろう?」
 楽しげな作造がおびえる祥子の背中を押して中へ入れる。
「この部屋だけで50畳あるんじゃ。ほかに風呂、便所、台所、休憩室、寝室まである。凄いじゃろう?」
 そこはダンススタジオのようだった。床は全面板張りで、壁のところどころに大きな鏡がはめ込まれている。
 ぐるりと部屋を見渡した祥子が恐る恐る尋ねる。
「今日は、ここで?」
 ご機嫌な様子の作造が、びくついている祥子の頭を撫でながら答える。
「そうじゃ。たまには趣向を変えてな。今日はパートナーも用意してある」
 驚いた表情の祥子が頭をもたげて作造を見つめる。
「パートナー、ですか?」
「そうじゃ。あれを見ろ!」

 部屋の真ん中に女性が立っている。いや、吊されている。全身を深紅の縄で緊縛され、天井の太い梁に繋がれている。
 口元だけが開いた真っ赤な全頭マスクを被ってアングルワイダーを噛まされているため、その表情はまったくわからないが、肌の感じから推測すると三十代か四十代のようだ。
 嬉しそうな作造に促され、顔のひきつった祥子が被縛者の前に立たされる。
 背丈や格好は祥子とほぼ同じだが、艶やかな黒髪がくびれた腰まで伸びている。トレーニングをしているらしく、全身が引き締まっていて優美な肉感が印象的だ。

 祥子は緊縛された女性を初めて目の当たりにした。
 最近は抱かれるたびに麻縄で縛られているが、縄で拘束された自身の姿を見たことはない。
 目の前で吊されている女性を自分と重ね合わせ、祥子は顔を赤くした。
 なんと恥ずかしい姿なんだろう。こんな淫らな状態で犯されていたなんて、思い出すだけで体が痺れてくる。

 ぼんやり立ち尽くす祥子に、真顔になった作造が命令する。
「いいか、今日はこのメス奴隷といっしょに調教じゃ!」
「えっ、いっしょにですか?」
「そうじゃ。いっしょにじゃ。できるな?」
 背中を丸めた祥子がもじもじしてうつむく。
「む、無理です。ほかの人といっしょなんて…」
 笑顔の作造が太い腕を回して抱き寄せる。
「祥子。パートナーに恥をかかせてはイカン」
 そう言って、緊縛姿の女に確認する。
「オマエは祥子といっしょに調教されたいよな?」
 全頭マスクの女が唯一自由になる頭を縦に振る。
「なに、いっしょにと言っても、オマエがこいつと絡むわけじゃない。仲良く並んでワシに責められるだけじゃ」
「そ、そうなんですか?」
 愛人に成り下がった祥子は、主の要望を受け入れるしかない。
「それで、この方のお名前は何とおっしゃるんですか?」
「んん? モモじゃ、モ・モ」
「ではモモ様とお呼びすればいいですか?」
「同格の奴隷に様はいらん。モモでいい、モモで。時間がもったいない。すぐに始めるぞ!」

 全裸にされた祥子が高手小手に縛られ、緊縛女の隣で正座をさせられる。
「祥子、よく見てるんじゃぞ。このモモはな、ドMなんじゃ。だから、痛いことをされて気持ちよくなる。気持ちよくな」
 素っ裸になった作造が右の手の平で引き締まった女の臀部を叩くと、パシーンという甲高い音が鳴り響く。そのいかにも痛そうな打撃音に、祥子が思わず目を閉じる。
「祥子、よく見てろって言うたじゃろ。目を開けろ!」
 祥子が怖々と薄目を開ける。それを確認した作造が、汗だくになって女を叩きつづける。

 しばらくすると、金属製の開口具によって大きく広げられた口から漏れる声に変化があらわれた。
 痛みに苦悶する呻き声が、いつの間にか快感に喘ぐ歓声になっていた。 
「祥子、これが証拠じゃ!」
 作造が叩くのをやめて、左手を双臀の間に差し込み、股縄の裏側をこすった。
 手を掲げた指先には、ねっとりとした半透明の液体が光っていた。


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豪円寺 琢磨
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